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ABOUT

アート格納庫Mは鳥取県倉吉市で創業70年以上の歴史を持つ業務用品商社、株式会社丸十が運営する常設展示スペースと企画展示スペースを合わせ持つ巨大なギャラリーです。

 

倉吉は20世紀を通じて民藝運動が発展し地域に根付いたまちです。文化的に豊かな土地柄であり、現在もまちを歩けばそこかしこにその痕跡を見ることができます。しかしながら、少子高齢化によって地域の文化を引き継ぐものも少なくなり、今後どのようにそれらを継承していくかは大きな課題です。

 

そのような中でアート格納庫Mはアートで地域を豊かにしたいというオーナーの強い思いから、会社に隣接する空き倉庫を改修し倉吉とゆかりのある原口典之のスケールの大きな作品を“格納”するスペースとして構想されました。

 

原口作品に隣接する企画展示スペースでは数ヶ月に一度展示替えを行い、若手アーティストや地元にゆかりのあるアート作品を中心に展示・販売を行います。

 

また定期的に地域の小学生をアート格納庫Mに招待します。現代美術に触れ作品を間近でみながら自由に対話する体験を通じ、次世代を担う子どもたちが既成概念にとらわれない豊かな発想力を養う機会となることを期待しています。

 

ギャラリーとして作品を販売することを通じてアーティストと地域との繋ぎ手となるだけでなく、教育普及事業にも力を入れ、地域の文化交流の拠点となることを目指しています。

施設概要

photo: ​YAMAMOTO KEITA

「アート格納庫M」を開館するにあたり、私共は以下の3つの目標を掲げています。

 

  1. 県内のアート施設と連携して、皆さんに親しんでいただけるギャラリーを目指します。アートツーリズムの推進により滞留人口を増やし、アートによる町おこしの一翼を担えるような活動をしていきたいと思っています。
     

  2. アーティストの方々の支援を心がけると同時に、作品の販売にも努力します。また、地域の子供たちにも現代アートに親しむ機会を提供します。毎年県内の小学5年生を格納庫に招待し、本物に接していただく事業を継続します。
     

  3. まちなかアート活動への参加店、事業所を増やしていきます。まちなかアートとは、飲食店、ホテル、事業所等にアート作品を展示し、購入希望者には販売も行う活動です。アート作品を展示することでお客様へのイメージアップと集客効果が期待され、販売することで売上アップにも貢献できます。

 

アーティストも、地域のお店も、アート格納庫Mも、皆さんに喜んでいただける、三方良しの事業となるように努力します。当面は、この3つの目標を達成するように、頑張ります。

オーナーより

オーナー岡野稔と原口典之作品

photo: Ryoko Tanaka

アート格納庫Mは、倉吉市街中心から少し外れた工業団地内にて、既存の倉庫とサイロ建物を改修した美術品の展示空間と、オーナーである岡野さんが過ごすコレクションルーム、それらをつなぐインナーガーデン空間を持った建築です。

・民藝に代表される用の美を愛でる文化

・曇りがちな気候での版画のような彩度が落ちた景色

・明るい内向きの庭でのプライベートな芸術活動


それら倉吉で脈々と醸成されてきた生活たちを受け継ぎ、それを知ってもらえるような場所にしたいと考え、「生活の断面を見せる」というコンセプトを掲げました。
今回のアート格納Mでは、常時アートを格納しながら、それらを蔵開きするように見せることを主眼とし、倉庫やサイロの意匠をそのまま踏襲しています。

普段格納されているものを断面として垣間見えるように、近くを流れる国府川に沿うような形で一本の斜めの【ガラスカットライン】を平面上に挿入しました。そのライン沿いが新たに設置された本建物のアプローチやメイン動線であり、用途や空間を仕切る面となります。
倉庫空間を生かした大空間によって、国内では数が少ない原口典之作品の常設展示や企画展エリアを包括し、斜め壁や天井照明材によって様々な空間プロポーションが現れ、鑑賞空間に変化をもたらします。

カットラインの逆側の空間は、緊張感のある展示空間とは対照的に、居心地が良くほっこりするコレクションルームと外部空間を屋根下に取り込んだ【インナーガーデン】を設けています。倉吉では中庭を取り込んだ芸術鑑賞、サロンが点在しており、その場所こそが芸術の素養を育ててきた土壌ともいえます。本計画においてもインナーガーデンを介したコミュニケーション、自然光の取り入れ、アート鑑賞などを司る空間になればと考えております。またガラスカットラインを通じて内外の連続性を出し、水平性を持つアート鑑賞空間として、外部空間も取り入れます。

この格納庫のアート達はどれひとつとして恒久的なものはありません。中の展示品が移り変わっても、変化を受け入れていけるような明快な空間を目指しました。

建築について

photo: ​YAMAMOTO KEITA

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